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ドローン事故事例からの考察:安全な飛行のための注意点
事例1:神奈川県藤沢市の人身事故
2017年2月に神奈川県藤沢市で日本初のドローンによる人身事故が報告されました。建設現場で空撮のために飛行していたドローンが電波障害により操縦不能となり、クレーンに接触して墜落。そしてその下にいた作業員に衝突し、顔に大怪我を負う事故となりました。
この事故は、ドローンの利用がまだ一般的ではなかった時期に起きた事件でした。主な原因は、電波障害による操縦不能と、自動帰還機能の誤動作です。
・電波障害の危険性: ドローンは電波で操縦するため、電波障害が発生すると制御不能に陥るリスクがあります。特に、建設現場など電波環境が複雑な場所では、予期せぬ障害が発生する可能性が高まります。
・自動帰還機能の限界: 自動帰還機能は、万が一の際にドローンを安全な場所に戻すための機能ですが、障害物が多い環境やバッテリー残量が少ない状況など、すべての状況で確実に動作するわけではありません。
・小型ドローンの危険性: 重量が軽くても、高速で落下すると大きな衝撃を与えます。特に、人がいる場所での飛行は、常に危険が伴うことを認識する必要があります。
事例2:岐阜県での落下事故
この事故は、自作ドローンによる無許可飛行が原因でした。
2017年に岐阜県でのイベント中に、空中から来場者に菓子をまいていた小型無人機「ドローン」が空中でバランスを崩し落下。男女6人が額や肩を擦りむくなどの軽傷を負う事故がありました。これは、既製品ドローンではなく、自作のオリジナルのドローンだったことや、事前に国の許可を得た機体とは別のドローンを本番で使用したことなど、様々な要因が基となり起こった事故でした。
・自作ドローンの安全性: 市販のドローンと比べて、自作ドローンは安全性が担保されていない可能性があります。特に、バランスや強度が不足している場合、飛行中にトラブルが発生しやすくなります。
・無許可飛行の危険性: ドローンを飛行させるには、国土交通省の許可が必要となります。無許可飛行は法律違反であり、人身事故などの重大な事態を引き起こす可能性があります。
・企業の責任: ドローンを製作・操縦する企業は、安全対策を徹底し、法律を遵守する必要があります。今回の事故は、企業の安全意識の低さを露呈するものでした。
事例3:大分県九重町のドローン事故
2023年7月、台形状の田んぼで、自動飛行していたドローン(縦横とも220センチ、高さ62センチ、サミサミラボ製)が、田んぼ脇の金属柱(高さ約8メートル、幅10センチ)に衝突後、近くにいた操縦者の男性(32)に接触。男性は右手小指を骨折するなどの重傷を負った。男性は農薬散布の練習をしていた。報告書は、男性が田んぼの形を考慮せず、自身や周辺の障害物との安全な距離も意識せずにドローンを飛行させたと指摘。安全を確保するための「補助者」を置くとする飛行承認申請を国に出していたが、事故当時、補助者はいなかった。
事故の概要と原因
2023年7月に大分県九重町で発生したドローン事故は、日本国内においてドローンによる人身事故として初めて運輸安全委員会が調査報告書を公表したという点で非常に重要な事例です。
この事故の主な原因は、以下の点が挙げられます。
・安全距離の不確保: 操縦者が、ドローンと自身、そして周囲の障害物との間に十分な安全距離を確保していなかったこと。
・自動飛行の誤用: 自動飛行機能に頼りすぎ、ドローンの挙動を十分に把握していなかったこと。
・補助者の不在: 飛行承認申請では補助者を置くことになっていたにもかかわらず、事故発生時に補助者がいなかったこと。
これらの要因が複合的に作用し、ドローンが障害物に衝突した後、操縦者に接触するという最悪の結果を招いたと考えられます。
事故の背景と問題点
この事故は、ドローンの利用が拡大する中で、安全対策の重要性を改めて浮き彫りにしました。
・ドローン操縦の技術不足: ドローン操縦には、高度な技術と知識が求められます。今回の事故は、操縦者の技術不足が原因の一つである可能性が考えられます。
・安全意識の欠如: ドローンは小型で手軽に扱えるため、その危険性を軽視しがちな傾向があります。しかし、ドローンは高速で回転するプロペラを持っており、取り扱いを誤ると大きな事故につながる可能性があります。
・規制の抜け穴: 今回の事故では、飛行承認申請で補助者を置くことになっていたにもかかわらず、事故発生時に補助者がいなかったという点が問題となりました。規制の抜け穴を突いて事故が発生する可能性も指摘されています。
海外におけるドローン事故事例からの考察
事例1:ガトウィック空港事件
2018年に英国のガトウィック空港で発生したドローン侵入事件は、ドローンの危険性を世界に知らしめる大きな出来事となりました。この事件は、単なる技術的なトラブルではなく、意図的な妨害行為であったという点で、航空業界に大きな衝撃を与えました。
事件の背景と影響
・航空機の安全への脅威: ドローンが航空機に衝突すれば、甚大な被害をもたらす可能性があります。ガトウィック空港の事件は、ドローンが航空機の安全に対する深刻な脅威となり得ることを如実に示しました。
・経済的な損失: 空港の閉鎖により、航空会社や旅客は多大な経済的な損失を被りました。また、地域経済への影響も軽視できません。
・社会への影響: 大勢の旅客が旅行の計画をキャンセルしたり、大幅に遅延したりするなど、社会全体に大きな混乱をもたらしました。
事例2:ヒースロー空港事件
ガトウィック空港事件に続き、ヒースロー空港でもドローンが目撃され、出発便が一時中断されるという事態が発生しました。これらの事件は、ドローンによる航空機の安全への脅威が、一過性の問題ではなく、継続的な課題であることを示しています。
事件の共通点
空港の機能麻痺: ドローンによる侵入は、空港の機能を麻痺させ、多くの旅客に影響を与えます。
捜査の難しさ: ドローンは小型で機動性が高いため、犯人を特定し逮捕することが困難です。
世界的な問題: ドローンによる航空機の安全への脅威は、特定の国や地域の問題ではなく、世界共通の問題です。
ドローンの法的責任について
ドローン事故発生時の3つの法的責任
ドローンが墜落した場合、どのような法的責任が生じるのか、という疑問に対して、一般的に法的責任が「民事上の責任」「刑事上の責任」「行政上の責任」の3つに分けられます。それぞれの責任について、解説します。
1. 民事上の責任
損害賠償責任: ドローンを操縦した人が、不注意や故意によって他人にケガをさせたり、物を壊したりした場合、その被害者に対して損害賠償をする責任が生じます。これは、民法上の不法行為責任に基づくものです。
例: ドローンが人にぶつかってケガをさせた場合、医療費や慰謝料などを支払う必要があります。
2. 刑事上の責任
過失罪: 不注意によって事故を起こし、他人にケガをさせた場合、過失傷害罪などに問われる可能性があります。
故意犯: 意図的にドローンを悪用し、他人に危害を加えた場合、暴行罪、傷害罪、器物損壊罪などに問われる可能性があります。
過去の事件: 首相官邸ドローン侵入事件(2015年4月)では、威力業務妨害罪が適用され、使用者に有罪判決が下されました。
業務上過失罪: 事業としてドローンを運用している場合、業務上の注意義務を怠って事故を起こした場合は、業務上過失致傷罪などに問われる可能性があります。
例: ドローンを飛ばして建物を壊した場合、器物損壊罪が成立する可能性があります。
罰則例:
過失傷害: 30万円以下の罰金または科料。
業務上過失致傷: 5年以下の懲役もしくは禁固、または100万円以下の罰金。
3. 行政上の責任
免許取消しなど: ドローンを操縦するにあたって必要な免許や許可を持っている場合、その違反行為によって免許取り消しなどの行政処分を受ける可能性があります。ただし、 ドローン事故が発生しただけでは、必ずしも行政処分を受けるわけではありません。
現状: ドローン事故そのものによる直接的な行政制裁は現時点ではありませんが、事故の原因が規則違反に基づく場合は制裁が科される可能性があります。
今後の法改正により、事故対応の厳格化が進む可能性があります。
重要なポイント
操縦者の責任: ドローンの事故は、基本的に操縦者の責任が問われます。
故意と過失: 事故の原因が故意か過失かによって、問われる罪名や責任の程度が異なります。
事業目的での利用: 事業としてドローンを使用している場合は、一般の人よりも厳格な安全基準が求められます。
免責事項
個々のケースによる: 上記の説明は一般的なものであり、実際の責任の有無や程度は、事故の状況や個々の事情によって異なります。
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