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負債があったらどうなるの?
負債分はプラスの財産から差し引いて計算
相続税の対象となる相続財産には、現金、預貯金、不動産などのプラスの財産のほか、借金や未払いの税金などのマイナスの財産も含まれます。
マイナスの財産は、プラスの財産の価額から差し引くことができ、これを「債務控除」といいます(相続税法第13条)。これにより、相続税の課税対象額を減らすことができます。
借金が多い場合は?
もし借金などのマイナス財産がプラスの財産を上回る場合は、相続人が借金をそのまま引き継いでしまう恐れがあります。その場合、以下の方法が検討できます:
◆相続放棄:相続のすべてを放棄する方法です。相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります(民法第915条)。
◆限定承認:プラスの財産の範囲内で負債を弁済する方法です。こちらも相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に申述します。ただし、相続人全員で申述する必要があり、実務上はあまり多く利用されていません。
その他の相続財産
相続財産には、みなし相続財産や非課税財産も含まれます。
◆ みなし相続財産
被相続人の死亡によって支払われる生命保険金や死亡退職金などが該当します(相続税法第3条)。これらは、形式的には被相続人の財産ではないものの、実質的に遺族に渡る財産として相続税の課税対象となります。ただし、生命保険金や死亡退職金については、一定額(500万円×法定相続人の数)が非課税となります(相続税法第12条)。
◆ 非課税財産
墓地、墓石、仏壇、仏具、位牌などは非課税財産とされています(相続税法第12条)。
贈与財産の注意点
また、相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産は、相続財産に加算して課税されます(相続税法第19条)。この規定は、贈与による相続税の負担逃れを防止するためのものです。
さらに、生前贈与加算制度や相続時精算課税制度を利用した贈与も、一定の場合には相続財産として取り扱われることがありますので、専門家に相談することをおすすめします。
相続の対象となる財産や負債は何があるの?
相続の対象となるのは、被相続人が死亡時点で所有していたすべての財産(プラスの財産)と、債務(マイナスの財産)です。
相続財産となる資産の例
以下のようなものはすべて相続財産として扱われ、遺産分割や相続税の課税対象になります:
・ 現金、預貯金
・ 株式や債券などの有価証券
・ 投資信託
・ 自動車、オートバイ
・ 不動産(自宅、土地、賃貸物件など)
・ 被相続人が受取人となっていた保険金(例:解約返戻金のある保険契約)
・ 積立金(定期積立預金、財形貯蓄など)
・ 宝石類、時計、絵画や骨董品などの動産
なお、死亡保険金のうち「被相続人が契約者かつ保険料負担者である契約」で相続人が受取人の場合、その死亡保険金は「みなし相続財産」として課税対象になります(相続税法第3条)。ただし、500万円×法定相続人の数までは非課税です(相続税法第12条)。
相続財産となる負債の例
以下のような負債も、被相続人の死亡時に存在すれば相続財産として相続人が引き継ぐことになります:
・ 借入金(住宅ローン、事業資金、金融機関からの借り入れ、クレジットカード利用残高など)
・ ツケ払いの未払い分(買掛金など)
・ リース料の未払い分
・ 未払いの家賃(賃貸契約中の賃料)
・ 未払いの税金(所得税、住民税など)や健康保険料
・ 未払いの損害賠償金(例:交通事故の賠償責任など)
負債を相続したくない場合は?
負債はプラスの財産と同様に相続の対象となるため、借金を相続したくない場合には、相続放棄や限定承認の手続きを検討しましょう。
◆ 相続放棄:被相続人が亡くなり、相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に申述することで、すべての相続財産(プラスもマイナスも)を一切引き継がない手続きです(民法第915条)。
◆ 限定承認:プラスの財産の範囲内で負債を引き受ける手続きです。相続開始を知った日から3か月以内に、相続人全員で家庭裁判所へ申述します(民法第922条)。実務上は手続きが煩雑で利用は多くありませんが、負債が多いケースでは検討の価値があります。
一定の契約上の地位や権利義務について
被相続人が生前に締結していた契約上の権利や義務も、相続の対象になります。これらは法律上「包括承継」され、相続人が一括して引き継ぐことになります(民法第896条)。
具体的には、以下のような契約上の地位や権利義務が相続されます:
◆ 賃貸人(貸主)としての地位
賃貸住宅や駐車場などを他人に貸していた場合、被相続人が有していた「賃貸人」としての権利(賃料請求権など)や義務(修繕義務など)が相続人に承継されます。
◆ 賃借人(借主)としての地位
被相続人が賃貸住宅などを借りていた場合、その「賃借人」としての権利(使用収益権など)や義務(賃料支払義務など)も相続人に承継されます。ただし、借地借家契約は被相続人の死亡によって当然に終了する場合もあるため、個別の契約内容や借地借家法などの特別法により確認が必要です。
◆ 損害賠償請求権および損害賠償義務
被相続人が第三者に対して有していた損害賠償請求権、または逆に被相続人が第三者に対して負っていた損害賠償義務も相続人に引き継がれます。
◆ 貸金債権および借入金の返済義務
被相続人が他人にお金を貸していた場合の貸金債権も相続財産となります。逆に、被相続人が金融機関や個人から借り入れていた借入金の返済義務も相続の対象になります。
相続の対象にならないもの
以下のようなものは、被相続人の死亡によっても相続財産には含まれません。
【1】一身専属的な権利・義務
契約上の地位であっても、被相続人の一身専属的な権利や義務は相続されません。これは「その人の個人的事情に深く関わるもの」で、被相続人本人限りの権利義務です(民法896条但書)。
具体的には、以下のようなものが該当します:
・ 扶養義務・婚姻費用の請求権や支払い義務
例:離婚後の養育費、婚姻費用の請求権。
・ 年金受給権
例:国民年金、厚生年金の受給権(ただし、未支給年金については相続対象です。詳細は後述)。
・ 生活保護の受給権
例:生活保護受給者であった場合、その権利は相続されません。
・ 委任契約(原則として本人死亡で終了)
例:委任契約や雇用契約、専属的な芸能契約など。
補足
・未支給年金(被相続人が受け取るはずだった年金で、支給日前に亡くなった場合の分)は相続人が請求できます(厚生年金保険法等で定め)。
・年金受給権そのもの(継続して受け取る権利)は相続されません。
【2】祭祀財産(さいしざいさん)
祭祀財産とは、家系や先祖をまつるための特別な財産で、民法897条に規定されています。これは相続財産には含まれず、慣習上、家督(家系)を継ぐ人が承継します(通常は長男や指定された人)。
具体的には:
・ 仏壇・仏具
・ お墓・墓地
・ 位牌
・ 棺・霊廟・霊屋
・ 神棚・祖先を祀るもの
これらは遺産分割協議の対象にはならず、遺産分割の手続きによって分けることもできません。
補足
・祭祀財産の承継者が不明の場合や争いがある場合、家庭裁判所に申立てることができます。
・霊園の使用権については、場合によっては祭祀財産扱いとされるケースが多いですが、名義変更の実務は霊園の規約などで対応が分かれるので注意が必要です。
祭祀財産を引き継ぐ決め方
祭祀財産(仏壇、墓地、位牌など)を引き継ぐ人(祭祀承継者)は、民法第897条に基づき、以下の優先順位で決められます。
【1】祭祀主宰者の指定
被相続人(亡くなった方)が生前に「誰を祭祀主宰者にする」と遺言や口頭で指定していた場合は、その人が承継者になります。
【2】慣習による承継
指定がない場合は、その家系や地域の慣習(例:長男が承継する等)によって決められます。ただし、慣習が不明確だったり、家族間で意見が分かれたりすることも多いです。
【3】話し合い(家庭裁判所での調停)
慣習でも決められない場合や、誰が承継するかでもめてしまった場合には、家庭裁判所に「祭祀承継者指定の調停」を申し立てて、相続人間の話し合い(調停)で決定することになります。調停が不成立の場合には、家庭裁判所が審判で承継者を決定します。
【補足】
・ 祭祀財産は通常の相続財産とは異なり、遺産分割協議の対象外です。
・ 誰を承継者にするかが決まると、その人が管理や維持を行う責任を負いますが、負担が大きい場合は他の相続人と費用を分担する話し合いも可能です。
・ 祭祀財産の承継者には祭祀財産を売却する権利はありません(あくまで管理・祭祀主宰の権利義務)。
みなし相続財産について
相続財産の中には、法律上は相続財産と扱われないものの、税務上は相続税の課税対象となるものがあります。これを「みなし相続財産」といいます(相続税法3条)。
代表的なものが次の2つです。
【1】死亡保険金
被相続人が亡くなったことにより、生命保険会社から相続人(または受取人)に支払われる保険金です。保険契約の受取人固有の権利として支払われるため、民法上は相続財産ではなく、遺産分割協議の対象外です。しかし、相続税法上は相続財産とみなされ、相続税の課税対象になります。
【2】死亡退職金
被相続人が会社などに勤務していて、死亡により支給される退職金も同様です。これも民法上は相続財産ではなく、遺産分割協議の対象にはなりませんが、相続税法上は相続財産として扱われます。
相続税の非課税枠(死亡保険金・死亡退職金の控除)
これらのみなし相続財産については、相続税法上、一定の非課税枠が設けられています。
◆ 法定相続人の数 × 500万円
この非課税限度額の範囲内であれば、相続税は課税されません。例えば、法定相続人が3人いる場合、死亡保険金や死亡退職金を合わせて1500万円までは課税対象外です。
注意点
・ 生命保険金の受取人が相続人以外の場合(例:内縁の配偶者や子の配偶者など)でも、課税対象になることがあります。
・ 受取人が複数いる場合、非課税枠は人数で均等に割り振られます。
・ 税務上の扱いなので、相続手続きや遺産分割協議とは別に、相続税申告の際に注意が必要です。
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