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相続放棄って何?
相続放棄とは、被相続人(亡くなった方)の遺産(財産・負債)について、相続権を一切放棄することをいいます。
放棄の対象となるのは、被相続人のすべての財産です。
・預貯金や不動産などのプラスの財産
・ 借金や未払い金などのマイナスの財産
いずれも相続放棄をすれば、一切承継しないことになります。つまり、相続放棄をすれば借金を背負うこともなく、プラスの財産を受け取ることもできません。
相続放棄の手続き
相続放棄は、被相続人が亡くなったことを知った日(通常は死亡日)から 3か月以内 に、家庭裁判所に「相続放棄の申述書」を提出することで行います。
・ 家庭裁判所が審査し、相続放棄が認められれば、最初から相続人ではなかったものとして扱われます(民法第939条)。
・ 一度相続放棄が認められると撤回はできません。
・ 手続きには戸籍謄本、被相続人の死亡の記載のある戸籍、遺産の調査書類などが必要です。
注意点
・ 相続放棄は、相続人全員で行う必要はありません。一部の相続人だけが放棄することもできます。
・ 相続放棄をした人がいる場合、その人は最初から相続人ではなかったものとして扱われ、次順位の相続人(例えば、被相続人の兄弟姉妹など)が相続人になります。
・ 相続放棄をすると、被相続人名義の不動産や銀行口座を勝手に処分してはいけません。相続放棄をする前に遺産を使うと「単純承認」とみなされ、放棄できなくなる場合があります(民法第921条)。
相続が発生したときの手続きの選択肢
相続が発生すると、相続人は必ず「単純承認」「限定承認」「相続放棄」のいずれかを選択しなければなりません。
そのため、「相続放棄」だけでなく、「単純承認」と「限定承認」についても理解を深めておくことが大切です。
① 単純承認(すべての財産を相続する方法)
単純承認とは、プラスの財産(預貯金・不動産・株式など)もマイナスの財産(借金・未払い金など)もすべて無条件で相続する方法です。
特別な申立ては必要ありません。
・ 相続開始(通常は死亡)を知った日から3か月以内に相続放棄や限定承認の手続きをしなかった場合、自動的に単純承認したとみなされます(民法第921条)。
・ たとえ3か月以内でも、相続財産の全部または一部を処分(売却、名義変更、引き出しなど)した場合は、その時点で単純承認したことになります。
そのため、マイナスの財産がある場合は、安易に相続財産を使ったり処分したりしないように注意しましょう。
② 限定承認(プラスの財産の範囲でマイナスの財産を負担する方法)
限定承認とは、被相続人のプラスの財産の範囲内でのみマイナスの財産(借金など)を負担する方法です(民法第922条)。
たとえば、被相続人に500万円の財産と800万円の借金があった場合、限定承認をすれば500万円分だけ借金を返済し、残りの300万円分の負債は免責されます。
◆ メリット:相続人がプラスの財産を超えて借金を背負うリスクがない
◆ デメリット:
・手続きが煩雑(相続人全員の合意が必要)
・公告や債権者への催告(請求申出手続き)を行う必要がある
・税務面でも複雑(譲渡所得課税などが発生する場合がある)
手続きは、相続の開始を知った日から3か月以内に相続人全員が共同して家庭裁判所に申し立てる必要があります。実務上は利用されるケースが少ないのが実情です。
③ 相続放棄(初めから相続人ではなかったことになる方法)
相続放棄とは、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も一切相続しない手続きのことです。
相続放棄をすると、法律上は最初から相続人ではなかったものとみなされます(民法第939条)。
このため、その人の相続権は他の相続人(代襲相続人や次順位の相続人)に移ります。
相続放棄をするには、相続の開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に「相続放棄の申述書」を提出する必要があります。
・ この期間を過ぎると原則として相続放棄はできません。
・ 放棄する前に相続財産を処分すると単純承認したことになってしまうので注意が必要です(民法第921条)。
相続放棄のメリット
借金・債務を相続せずに済む
相続放棄の最大のメリットは、被相続人(亡くなった人)の借金や債務を一切相続しなくて済むという点です。
相続放棄をする理由として最も多いのが、「借金や負債を引き継ぎたくない」というものです。
たとえば、マイカーローンや一部の高額商品の分割払い程度であれば、プラスの財産で清算できる場合もありますが、あまりにも大きな借金がある場合、プラスの財産が多少あっても相続放棄を検討することが多いです。
相続放棄をすることで、借金や未払金など、マイナスの財産を一切負担しないで済むのは大きな安心材料になります。
遺産分割協議に関わらなくて済む
相続放棄のもう一つのメリットは、遺産分割協議に関わらなくて済むという点です。
相続放棄をすると、その人は法律上、最初から相続人ではなかったものとみなされるため、遺産分割協議に参加する必要がありません。
遺産分割協議は、相続人間でそれぞれの利害が対立することが少なくなく、これまで仲が良かった親族の間でもトラブルが起こりがちです。
相続放棄をすることで、そういった遺産分割トラブルを回避し、精神的な負担を減らすことができます。
相続問題は、たとえ少額の財産でも感情のもつれから深刻なトラブルに発展するケースが多いのが特徴です。
(参考)相続放棄をしても死亡保険金は受け取れる
相続放棄をした場合、被相続人が契約していた生命保険金(死亡保険金)を受け取れないのではないかと誤解されることがあります。
しかし、保険金の受取人が相続放棄をしていても、死亡保険金は「受取人固有の権利」として法律上相続財産には含まれないため、受け取ることができます(保険法第50条)。
ただし、相続放棄をした人が死亡保険金を受け取れる場合、兄弟姉妹など他の相続人との関係でトラブルになることがあります。
そのため、保険金を受け取れる人が相続放棄を検討する際には、保険金の受け取り額や他の兄弟姉妹との関係性も含めて慎重に考慮することが望ましいです。
相続放棄のデメリット
プラスの財産も相続できなくなる
相続放棄をすると、被相続人の借金を相続する必要がなくなる一方で、預貯金、不動産、株式などプラスの財産も一切相続できなくなります。
そのため、後からプラスの財産があるとわかった場合でも、放棄の撤回は原則としてできないので注意が必要です。
親族に相続権(負債)が移る
また、自分が相続放棄をすると、その相続権(債務を含む)が次の順位の相続人に移ります。
たとえば、法律上、第一順位の相続人(子供)が全員相続放棄した場合、相続権は第二順位(親や祖父母)に移ります。
第二順位の人がいない、または全員が相続放棄した場合、相続権は第三順位(兄弟姉妹)に移ります。
自分の放棄によって親族に負担がかかる可能性があるため、相続放棄する際には、次に相続権を持つ人に「債務も含めて相続権が移る」ことをきちんと伝えておくと良いでしょう。
なお、一度相続放棄をすると、原則として撤回はできません。
例えば、負債超過だと思って相続放棄したあとにプラスの財産が見つかっても、放棄の取り消しや財産の取得は認められないのが原則です。
そのため、放棄するかどうかは慎重に判断する必要があります。
放棄の判断は個人単位でできる
相続放棄は、各相続人が個人で決めることができます。
他の相続人と相談して全員が一緒に放棄しなければならないという決まりはありません。
そのため、相続人の一人が相続放棄をした場合、その人は初めから相続人ではなかったものとして扱われます。
一方で、相続放棄が有効に成立しない場合(たとえば、手続きを誤ってしまった場合や、相続財産を一部処分してしまい単純承認が成立してしまった場合)には、放棄できなかったという問題が生じます。
また、放棄するか相続するかの判断に迷うことも多いため、次の3つの観点で検討してみましょう。
相続放棄を検討する際の3つのポイント
① 債務超過か否か
被相続人には借金だけでなく、何らかのプラスの財産がある場合も少なくありません。
プラスの財産とマイナスの財産を比較して、債務超過かどうかを確認しましょう。
もしプラスの財産が多ければ、借金を返済しても最終的には財産を受け取れるので相続する方が得です。
一方で債務超過の場合、相続人が自分の資産を取り崩して借金を返済する必要があるため、相続放棄する方が安全です。
② 財産調査を行う
相続放棄するかどうかを判断するためには、被相続人の財産状況を正確に把握することが最も重要です。
そのために、被相続人の自宅内をくまなく調べることが基本です。
郵便物も重要な手がかりで、定期預金、保険、不動産、株式、借金などの手がかりが見つかることがあります。
気になる郵便物があれば、送り主に問い合わせて詳細を確認しましょう。
また、不動産については、市区町村役場で「名寄帳」を取り寄せれば、その市区町村内の所有不動産が分かります(ただし他の市区町村の分は記載されません)。
一方、固定資産税の課税明細書には所有する全ての不動産が記載されますので、こちらも確認してみましょう。
銀行の貸金庫に重要書類を保管している場合もありますので、自宅内の書類や鍵を探して確認することが大切です。
財産調査にはケースによりますが、1~2ヶ月程度かかることが多いので、時間的余裕をもって取り組みましょう。
③ 手放したくない財産があるかどうか
たとえ債務超過の状態であっても、相続放棄したくない財産(自宅や思い入れのある品物など)がある場合は、放棄を保留して相続する方法を検討しましょう。
例えば、被相続人と一緒に住んでいた自宅を守りたいなら、借金を返済しながら住み続けるという選択肢もあります。
この場合、住宅ローンや家賃を払うイメージで借金を返済できるかも含めて慎重に考えましょう。
ただし、負債を引き継ぐ以上は、自分が支払える範囲内かどうかを必ず確認することが大切です。
限定承認という選択肢
被相続人の借金や債務がどのくらいあるのかが不透明な場合、限定承認が有効な場合もあります。
限定承認を選べば、プラスの財産の範囲内で借金を支払えばよく、負債を超える分まで自分の財産で支払う義務はありません。
ただし、限定承認は相続放棄より手続きが煩雑で、相続開始を知った日から3ヶ月以内に相続人全員が共同で家庭裁判所に申し立てなければなりません。
また、被相続人の財産調査や必要書類の準備も短期間で済ませる必要があります。
もし他の相続人が同意しない場合や、準備が間に合わない場合は、単純承認または相続放棄を選ばざるを得ません。
相続放棄なら負債を背負う心配はなくなりますが、後からプラスの財産が見つかった場合に損をする可能性があるので、早期にしっかりと財産調査を行うことが大切です。
注意点
同順位の相続人がいる場合はその人の取り分が増える
たとえば、父が亡くなり、母と子供2人が相続人の場合、母は2分の1、子供はそれぞれ4分の1ずつが法定相続分です。
ところが、子供のうち1人が相続放棄をすると、残る母ともう1人の子供がそれぞれ2分の1ずつになります。
相続放棄しても自分の子供は代襲相続できない
親の相続を自分が受け取らずに子供(被相続人からみた孫)に直接相続させたいと思って相続放棄しても、代襲相続はできません。
代襲相続は「相続人が先に死亡した場合」に限られ、相続放棄では代襲相続は発生しないからです。
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