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寄与分とは何?

寄与分とは何か?

寄与分(きよぶん)とは、相続人の中で「特別な貢献をした人」が、他の相続人より多くの財産を相続できるようにする制度です。

これは、被相続人(亡くなった人)の財産の維持や増加に対して、相続人が無償で貢献した場合に、法定相続分より多く遺産を受け取ることができるというものです。

たとえば、以下のようなケースが該当します:

・相続人が被相続人の家業を無報酬で長年手伝っていた

・相続人が自分の仕事を辞めて、長期間にわたり介護や看護を行った

・相続人が自己の財産を用いて被相続人の医療費や生活費を負担していた

こうした貢献があったと認められる場合、その相続人は「寄与分」として、他の相続人よりも多く遺産を取得することができます。

 

寄与分をめぐる争いと解決方法

寄与分は相続人全員の合意(遺産分割協議)によって決めるのが原則です。

しかし、実際には以下のようなトラブルが発生することも多くあります。

・長年親の介護をしてきた子どもと、何もしてこなかった他の相続人との間で意見が対立

・寄与分を主張する側と、認めたくない側で金額に大きな差がある

このように協議がまとまらない場合には、家庭裁判所での調停手続を利用することになります。

それでも合意に至らなければ、最終的には審判(裁判所の判断)で寄与分が決定されます。

 

寄与分の対象者について

寄与分を請求できるのは相続人に限られます。

たとえば、「内縁の妻」や「息子の配偶者(嫁)」などは法定相続人ではないため、寄与分を主張することはできません。

しかし、相続人以外であっても、被相続人に特別な貢献をしていた場合は、2019年の民法改正により、「特別寄与料」を相続人に請求することができるようになりました。

これは、寄与分とは別に、相続人以外の親族が貢献に対する金銭的報酬を求めることができる制度です。
 

寄与分が認められるための要件

家庭裁判所において寄与分が認められるためには、以下のような厳格な要件をすべて満たす必要があります。

① 親族として通常期待される範囲を超える貢献であること

親の介護や家業の手伝いといった行為は、たとえ無償で行っていたとしても、家族として当然期待される範囲内のことであれば、寄与分としては認められません。

つまり、「特別な貢献」として評価されるためには、一般的な家族関係の中で通常は期待されないレベルの行為であることが求められます。
 

② 介護に「専念」していたこと

単に介護に関わっていたというだけでは不十分です。たとえば、

仕事を続けながら週に数回通って介護していた場合

・病院や介護施設に親が入所していた期間

このようなケースでは、寄与行為に「専念」していたとはいえず、寄与分としては評価されにくいのが実情です。

 

③ 一定期間(少なくとも1年以上)継続していたこと

寄与行為は、一時的・短期間のものであってはなりません。目安としては1年以上継続したことが必要とされており、その行為が日常的に長期にわたって行われていたことが求められます。

 

④ 報酬等を受け取っていないこと

貢献に対して報酬(給与や手当など)を受け取っていた場合は、寄与分として評価されません。あくまでも無償で行っていた行為であることが前提です。

 

⑤ 寄与行為を裏付ける客観的な証拠があること

寄与分の主張には、具体的な証拠資料の提出が不可欠です。

たとえば、以下のような書類・記録が挙げられます。

・介護日誌、医療記録、通院記録

・家計簿や介護費用の支出記録

・周囲の証言や陳述書 など

主張するだけでは認められず、客観的に証明できるかどうかが重要となります。
領収書の保管や日々の記録を手帳に残しておくだけでもかなり解消されます。家族に対して特別な貢献をしていると考えている人は、日々の貢献を記録することを検討してみるのもいいでしょう。
 

 

寄与分を認めてもらうハードルは高い

これらの要件を総合的に満たす必要があるため、家庭裁判所で寄与分を認定してもらうハードルは非常に高いのが現実です。

特に注意すべきなのが、要件①「通常期待される範囲を超える寄与」であることです。

この点で、多くの方が「これだけ貢献したのだから当然認められるはず」と感じていても、法律上は「家族なら当然の範囲」として寄与分が否定されるケースが少なくありません。

たとえば、どこからが「特別の寄与」になるのか?

以下のような行為では、寄与分が認められる可能性は低いとされています:

・同居していた親に毎日食事を作っていた

・通院の付き添いや買い物の手伝いをしていた

 

これらは、同居する親子間であれば一般的に行われる行為とみなされやすいためです。

一方で、以下のようなケースであれば、「通常期待される範囲を超えた貢献」と評価され、寄与分が認められる可能性が高くなります:

・本来は有料でヘルパーを雇うような介護を、長期間にわたってすべて無償で対応した

・自らの仕事を辞め、被相続人の家業を長期間無給で継続して支えた

・相続人自身の資産を使って、被相続人の医療費や生活費を負担していた

 

寄与分の計算方法

寄与分は、被相続人の財産の維持・増加に対して特別な貢献をした相続人に対して、法定相続分を超えて財産を配分するための制度です。

そのため、貢献の内容に応じて金額を具体的に算出する必要があります。以下に代表的な類型ごとの算定方法を紹介します。

① 家業を無償で手伝っていた場合

寄与分の額

=(寄与した相続人が通常受け取ることができたはずの年間給与額)

×(1 - 生活費控除割合)× 寄与年数× 裁量的割合

※生活費控除割合とは、その期間中に寄与者自身の生活のために使われた部分を差し引く割合です。

※裁量的割合とは、家庭裁判所が個別事情を考慮して調整する割合です。

 

② 被相続人の介護を行っていた場合

寄与分の額

=(職業的付添人・介護職等の日当額)×(介護・療養にあたった日数)× 裁量的割合

※職業的付添人の基準は、地域によって異なることもあり、日額1万円前後が目安とされます。

※ここでも「裁量的割合」が加味され、専従性・継続性・無償性・親密度などが総合的に考慮されます。

裁量的割合について

裁量的割合は、以下のような複数の要素を総合的に見て決定されます。

・寄与行為の内容と程度(どれほど貢献したか)

・被相続人との関係性(親子・兄弟など)

・行為の継続期間・専従性(他に介護者がいたかなど)

・無償性(報酬の有無)

・その他特別な事情(相続人間の関係など)

計算はあくまで目安、個別事情が重視される

このように、寄与分は「給料や介護費用の節約分」を基準として試算されますが、実際の分配額は一律ではありません。

人間関係、生活状況、寄与行為の動機など個別の事情が複雑に絡むため、全てのケースに共通する明確な計算式は存在しないのが実情です。

寄与分を具体的に主張したい場合には、専門家に相談して、個別事情に基づいた助言を受けることが重要です。
 

特別寄与料の請求には期間制限がある

相続人ではない親族(例:息子の妻など)が「特別寄与料」を請求する場合、相続人との遺産分割協議に参加するのではなく、別途請求手続が必要になります。

特別寄与料は家庭裁判所への申し立てによって請求できますが、その請求には以下の期間制限があるため注意が必要です。

・相続の開始および相続人を知った時から6か月以内

・かつ、相続開始の時から1年以内

この期間を過ぎると、特別寄与料の請求は認められなくなります。

したがって、「まずは遺産分割協議の行方を見てから…」と様子を見ているうちに、請求権が失効してしまうリスクがあるため、早期の判断と行動が重要です。


介護してきた子が取れる2つの事前対策

寄与分や特別寄与料の制度には限界があるため、事前の法的準備が極めて効果的です。以下のような対策が検討できます。

① 生前に遺言書を作成してもらう

被相続人自身が、遺言書により介護してくれた子への配慮を明記しておくことで、確実にその意思を実現できます。

例:

「長男Aには遺産の60%、他の子BとCには20%ずつ相続させる」

※ただし、他の相続人の遺留分(最低限の取り分)を侵害していないことが条件です。

 

② 負担付き死因贈与契約を結ぶ

これは、贈与契約の一種で、たとえば:

「私が亡くなるまで介護を続けてくれたら、不動産(または金銭)を贈与する」

といった条件付きの贈与契約です。

この契約は口頭でも成立しますが、将来のトラブルを防ぐために、書面(できれば公正証書)で残すことが強く推奨されます。

注意点として、以下の点を把握しておきましょう:

不動産を死因贈与した場合、登録免許税や不動産取得税が相続より高くなる傾向があります

税制上は、死因贈与は贈与税ではなく相続税の対象になります

 

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